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【プレゼントあり】ちいさな大冒険

2015年9月8日 15:59 | 約7分で読めます
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はじめてのおつかい
筒井頼子 さく
林明子 え
こどものとも傑作集
福音館書店


ママに頼まれてはじめて1人でおつかいに行くことになったみいちゃん。
100円玉をふたつにぎりしめ、いざ出発!
ちゃんとお買い物をして、おつりをもらって、無事に帰って来られるでしょうか。
家からお店までの短い距離ですが子供にとっては大冒険!
誰もが経験する初めてのおつかいをファンタジーではなく小さな人たちの気持ちに寄り添い
心の動きや変化を見事表現された林明子さんの代表作であり、ロングセラーの絵本です。

絵本をもっとめくってみる

初めて1人でおつかいに行った日の事を覚えているでしょうか。
残念なことに私は覚えていません。
それでも初めて1時間半も離れている「新宿」の歯医者に1人で行った時のことはかなり
鮮明に覚えています。といっても小学生高学年の頃でしたが、あの頃の私にとっては家と歩いて20分ほど離れている小学校との往復がほぼ全世界でしたから、大都会に1人で電車に乗って行くのはちょっとした勇気がいりました。それも乗り換えがあるのですから大変です。

母が紙に乗り換える電車の線の名前やらを書いてくれましたが、当時から方向音痴の私にはいくら母とは行き慣れた場所でも大冒険でした。そう、不安もありましたが1人で遠出するワクワク感も確かにありました。
歯医者が済んで駅に向って大きな、それは大きな道路を渡っていると後ろから男の人が声ををかけてきました。びっくりして振り向くと「かばん、あいてますよ」の一言。見ると背中にしょったリュックのふたが大きくガバッと開いていたのでした。この絵本の中の「めがねおじさん」とおつりを渡しに追いかけてきた「お店のおばさん」を足して2で割ったようなエピソードでした。

この絵本ではわずか5つの女の子の恐らく大人の足で5分か10分ほどの距離の話だと思うのですが、この女の子の気持ちはだれでも経験したことがあるはず。そしてこれを読む子供達は等身大の女の子に強い共感を抱きながら読み進めることでしょう。

林明子さんの描く子どもたちはその関節の妙、仕草、顔の表情を見ていると「ああ、こんな感じ。子供ってこんな表情をするする」とまるで目の前に子供がいるかのように感じます。わかっていてもなかなかそのように表現できなかったり、勝手な思い込みのイメージで子供を表現してしまう作家は多いのではないでしょうか。とにかく子どものスケッチをされるという林さん。子どもの後ろ姿を描いた時、その子が怒っているのか、泣いているのか、笑っているのかをその後ろ姿で表現できるとおっしゃっていたと聞いた事があります。たくさんの連続した子供の仕草の中からそれらしい1コマを切り取ることができるのはセンスだけでなく、とにかく子供をよく観察しているからなのでしょう。ジブリの宮崎駿さんは「となりのトトロ」の映画の制作に入る前に林さんの絵本を買いあさりアニメーターに配って子どもの動きを参考にするようにと言われたそうです。

さて、この絵本は小さな女の子が1人で買い物に行って帰ってくるというお話。そこには特別なファンタジーも大きな事件もありません。子どもの気持ちをちょっとした仕草から読み取る事ができる画。その表現力あってこその作品です。例えば、お店のおばさんにお金を渡す場面。女の子がやっとお店のおばさんに気づいてもらえて、牛乳を買うんだという意思とほっとした瞬間のきゅっとなった口元。そして「・・・・てのなかで あったかくなった おかねを わたして、・・・」というテキスト。この一文に女の子がずっと胸に抱えてきた意思と不安が詰まっているように感じます。

お店についてから 牛乳を買うまでの 構図の変化にも工夫があります。
同じ店内を描いているのに 同じ構図に留まらず、かといってただ角度を変えているだけでなくその全てに意味がある構図です。

さらに絵本ならではの発見の楽しみも所狭しと散りばめられています。
お店の前の台の上に寝ている黒猫の動きも豊かですが、8,9pのひいた画面の絵もかなり楽しく読めます。これ、1度読んだだけではわからないのですが、ページを先に進むと街の掲示板に探しネコの張り紙がさりげなく描いてあるんです。そこに描かれているネコとどうやら同じじゃないかと思われるネコがこの8.9pのどこかに描かれているのです。にくい!まだ何か隠れているのじゃないかと眺めていると電線に明らかにセキセイインコのような鳥が止まっている。さらに目を凝らして眺めていると空の鳥かごを持って外を眺めている男の人がいる。「ああ、この人のインコが逃げてしまったんだな」と主人公の女の子のストーリーの脇にもう1つ、2つストーリを読むことができるのです。
「絵を読む」絵本ならではの楽しみですね。是非、いろいろ探して見て下さい。

絵本バックナンバー

 

★林明子さんの絵本★

はじめてのキャンプ 

林明子さく・え

あさえとちいさい

いもうと 

筒井頼子さく

NPO法人セカンドブックアーチ

NPO法人セカンドブックアーチについて

読まなくなった不要な本、またはもう読まないけれど捨てられない大切な本を地域のために役立てたいとの思いから、2007年より茅ヶ崎にて活動を開始。本をこよなく愛するスタッフで構成されており、本というものは読み終わった後に捨ててしまう、売ってしまうといった、たんなる消費物ではないと信じて活動しています。

寄付可能な本は、児童書・単行本・古書・各種参考書など様々。詳しくはホームページをご覧ください。

ホームページ:http://www.npo-sba.com

Filed in: あの子の絵本箱

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文:

1978年生まれ。茅ヶ崎に育つ。 大学時代に死生学に興味を持つ。セツ・モードセミナー卒業。 パレットクラブ絵本コース卒業。絵本ワークショップ「あとさき塾」「チャブックス」に参加。 2005年より、個展等にて作品を発表。第7回逗子市手作り絵本コンクール「優秀賞」受賞。 『てがみぼうやのゆくところ』にて、第35回講談社絵本新人賞受賞。本作がデビュー作となる。 加藤晶子ホームページ「アトリエメクル」 http://atelier-mekuru.com 「てがみぼうやのゆくところ」加藤晶子作 講談社 定価1300円(税別) 書店、amazon等にて販売中

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